平和祈念像を摺り漆する

カテゴリー │うるしの話



金土の晩、二日がかりで平和祈念堂内に祭られている平和祈念像の摺り漆作業を行いました。

平和祈念像は沖縄出身の山田真山画伯が原型を制作し、
沖縄独特の堆錦(ついきん)という漆の技法を用いた「堆錦漆像」です。
→もっと詳しく知りたい方は平和祈念堂のHPをご覧ください。

堆錦を簡単に説明しますと・・・

焼いた漆に顔料(色粉)を大量に練り混ぜ、金槌で叩いて餅状にします。
これを延べ棒などでシート状にのばします。
金槌では叩きませんが、混ぜて・こねて・のばして
クッキーやパスタ生地を作るみたいな感じ。

そして、シートの裏に漆を塗り、好きな形に切り取ります。
金属の棒で凹凸や線を入れたりして立体感をつけると、まるで彫刻をしたような感じに。
漆塗りの椀や皿などに貼って模様となります。

漆は温度20~25℃・湿度75~85%内外でよく乾きます。
この堆錦、漆を焼いたり、顔料を大量に入れてあるため、
一年中、高温多湿の沖縄の温度・湿度じゃないと
とーーっても乾きにくいのです。
内地だとほぼ乾かないと言ってもいいでしょう。

ただ、堆錦は時間が経つと顔料の粉が噴いてきて、白っぽくなり艶がなくなってきます。
そんなときは、漆を摺りこんであげると粉っぽさがなくなり艶がよみがえるのです。



今宵は15年ぶりのお化粧直し。

刷毛で生漆(きうるし)を塗り、布で摺り込みながら漆を拭き取ります。
うるしを摺り込むので「すりうるし」と言うんです。

↓↓こんな感じで、キュッキュ、キュッキュ↓↓



結構、いい運動です。
12mあるのでアクロバティックなうるし作業です。

裸足になっての作業だったので、足の裏はうるしだらけ。
足の裏は皮膚が硬いのでカブレませんでしたが
(これ、若くてツルツルの子はカブレるかもね~)
足の甲にカブレきました。。。
久しぶりにめっちゃ痒いです。


平和祈念像様もお艶が増し、
6月23日の慰霊の日を前に綺麗になりました。

戦争反対!と声に出して言うほどの平和主義者ではないのですが
やっぱり平和祈念公園に来るのはなぜかちょっと、気合いみたいなものがいります。
久々に来て「平和ボケしてませんか?」と言われてるようでした。

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