漆室 うるしむろの話

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漆室と書いて「うるしむろ」と読みます。
漆を乾かすために入れる漆の小さな部屋です。
この中に入れ、ホコリが付かないように乾かします。

塗料は普通水分を放出しながら乾くのですが漆はその逆で
空気中の水分を取り込み結合して固まるのです。
温度もある程度高くないと乾きません。

漆が乾くのに最適な温湿度は25℃・75%くらい。
厳密には塗る漆の種類によって違いますが、室の中をこの数字に近づけます。
寒くて乾燥しているときは中を温めたり、水を撒いて湿度を上げます。

内地では冬場は温湿度管理が大変みたいです。
沖縄は最適な温湿度は秋冬なのです。
湿度が60%切る日は数日です。

これから4月になると急に湿度が上がり、湿気ムンムンのシーズンです。
雨なんか降ると90%近くいくので、こういう日は塗りの作業は避けたりします。
春夏初秋は塗る部屋をエアコンで温湿度を落としてから塗ります。
沖縄は夏場の塗りの温湿度管理が大変です。
温湿度に比例してエアコン代も急上昇!!
我が家は夏はうるし様が快適な部屋にいて、人間は汗ダクの部屋にいることもしばしば。

温湿度管理を怠ると乾きそこなったり、色がどす黒くなったりと、
うるし様のご機嫌を損ない痛い目にあいます。
でも、オールシーズン通して漆を塗る環境は沖縄が最適だと思ってます。

   以前、作った室
漆室 うるしむろの話


木は湿気が多い時は空気中の水分を吸ってくれ、乾燥してる時は水分を放出してくれます。
塗装をすると塗膜で水分の出入りが出来なくなってしまうため無塗装で作ります。


先日、漆職人さんの押入れを室に改造しました。
今まではベニヤを貼っていたのですが、水を撒くため腐ってきたとのこと。
一面に杉板を張り付け、室らしくなりました。
湿度も下がるようになったそうです。

   作業前
漆室 うるしむろの話



   作業後
漆室 うるしむろの話


実は、よその室を作って我が家はいまだベニヤで作った「とりあえず室」のまま。
アクセサリーなどの小さいものはプラスチックの衣装ケースでやってます。
温湿度を管理すれば段ボール箱でも乾きますよ。
そろそろちゃんと作らないと!と思ってはいるのですが、
自家用は後回しでなかなか手を付けられず。いつになるやら・・・。

ちなみに自動で温湿度管理をしてくれる機械室も売ってますが、かなりお高いです。






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